カリブーを追いかけて 2016
-2016年カナダ北極圏の川旅について-
文・写真 小貝哲夫
2006年に初めてカナダ極北のユーコン準州を訪れて以来、広大な荒野に憧れ、毎年9月に通い続けています。この時期の特徴は急速に移り変わる季節の中で、野生動物が冬に向けた準備を始め、鮮やかな紅葉の中を歩き、夜にはオーロラが輝き始めます。特に季節移動をしながら生きるカリブーに惹かれ、大地を埋め尽くすような大群を追いかけてきました。
交通手段のない無人の荒野に分け入る手段として、2014年にはカヤックを使い、先住民の集落オールドクロウまで約750km、カリブーを追いかけながら3週間の川旅を行いました。無数の川を泳いで渡るカリブーの大群を目撃するのが狙いです。
先住民にとって現在でもカリブーは厳しい冬を乗り越える貴重な食料です。専業の狩人は居なくなりましたが、週末にはモーターボートで移動しながら野生動物を捕獲しています。目の前で見事に分解されていくカリブーをたくさん目撃しました。残念ながら2014年の冬はそれほど寒くなく、移動するカリブーは少なかったようです。
2016年は、狩人がアクセスできない地域でカリブーの群れとの遭遇を狙います。8月19日(金)にホワイトホース(ユーコン準州)へ移動、21日(月)にイヌヴィック(ノースウエスト準州)へ空路で移動、同日午後に水上飛行機をチャーターして州境にあるサミット レイク(67°42'21.10"N 136°27'59.82"W)に飛び、ここをベースに10日間ほど周囲を散策。その後、川を下り、11日間でオールドクロウに向かい、9月11日(日)午後にホワイトホースに戻ります。翌日、陸路トゥームストーン準州立公園に向かい、トレッキングで荒野に分け入りキャンプしながらオーロラ撮影。9月19日(月)の便で現地発、翌日帰国します。
この地域にはカリブー以外にも、ムースやジャコウウシが生息していますが、特にグリズリーには注意が必要です。移動軌跡はSPOTで24時間確認可能です。
2014年の川旅から
カリブーは待ち構えた狩人に撃たれ、数十分で解体されてしまいます。
オーロラの下でキャンプ、先住民の方との交流も楽しみのひとつです。