2010年3月12日金曜日

415&460 ボトム形状

クルーソー415(左)、460(右)のボトム形状の違いです。性能に大きく影響するコックピット下部分の形状、415の方は、ほぼV字型、460はマルチチャインのように、少しラウンドに近い形状になっています。
船の抵抗は主に水との摩擦と造波抵抗で決まります。水との摩擦を少なくするためには水との接触面積を少なくすることが必要です。同じ浮力で比較すれば、全長は短く、ラウンド形状が有利です。しかし、造波抵抗は全長により、急激に増加するので、全長が短くなればあるスピード以上は出ないということになります。かといって全長が長すぎても、今度は接触面積が大きくなりすぎ、摩擦抵抗が増えます。
以前2人乗り全長6.4mのフォールディングカヤックを作りテストした時、最高スピードは二人で思い切り漕げばすごいスピードが出るのですが、低速でも摩擦抵抗が大きいため、疲れてくると逆に全長の短いカヤックよりも遅くなってしまいました。長いカヤックを高速で使いこなすためには、それなりの腕力が必要です。普通の腕力の方は、ほどほどの全長のほうが平均速度は速くなります。
断面形状について半円のラウンドが一番接触面積が少なくなるのですが、安定性は全くなくなります。実用的な安定性を持たすには、ほどほどの幅と平に近い形状が必要です。また、末端の形状もスピード、回転性に大きく影響します。一つ一つ理論的には説明は出来ても、実際にはさまざまな要素が組み合わさって性能が決まるので、それぞれの要素のバランスが一番重要で、やはり実物を作ってはテストを行い、少しずつ調整していくということになります。バタフライカヤックスのデザインコンセプトは、十分な安定性を確保しつつスピード性能を持たせ、自在に回転できるという操作性のバランスが特徴です。
415と460の違いは415は瀬の中の岩をよけるときに突然傾けても大丈夫な十分な安定性と岩をとっさに避けれるように回転性優先、460は少しラウンドに近い低摩擦形状スピード優先。
昨年ご購入者様から、415については、「安定性・操作性が抜群にいいのにスピードも速いのにビックリ」、460も「スピードが速いのに操作性抜群」と高い評価を得ています。